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個人的な私の考え方

設計士ブログ 2026.06.19

こんにちは。丸山です。
今日はこれまで私がブログで綴ってきた思いをまとめました。

 

私は意味のない設計や、ただ見栄えを良くするためだけの装飾的なデザインが苦手です。
世の中には「流行りの箱型の家だから」「なんとなくオシャレなコの字型にしたいから」という理由で家づくりを進めようとする人が多すぎます。しかし、それらは本当にあなたのライフスタイルに根ざしたものですか?

家を建てるということは、あなたがこれから何十年もの間、数千万円という巨額の住宅ローンを背負って生きていくということです。私は設計士として、あなたの人生そのものを背負う覚悟で図面を引いています。だからこそ、安易な妥協は一切許しませんし、すべての設計要素に明確な理由と意味を求めます。

今回は、私が培ってきた家づくりの哲学と、理論的に心地よさを追求するための「意味のある設計」について、少し強い言葉で語らせていただきます。

1. なぜその「廊下」が必要なのか?――無意味な空間という名の『悪』

間取りの打ち合わせを始めると、多くの人が当たり前のように「玄関からリビングへの廊下」や「2階の長いホール」を求めます。

お聞きしますが、その廊下、本当に必要ですか?

私は、明確な理由のない廊下やホールを単なる「通過するだけの無駄な場所」と見なしています。厳しい言い方をすれば、限られた予算と敷地の中で無意味に廊下を作ることは『悪』です。

日本の住宅の建築コストは上がっています。1坪(約2畳)増やすだけでも数十万円のコストが上乗せされる時代です。その貴重な予算を、1日のうち数分しか通らない通路にドブのように捨てるつもりですか? 階段を家の端に設けてしまうから、2階の廊下が無駄に長くなるのです。階段の上がりきった部分が2階の中心に来るように計画すれば、廊下は最小限で済みます。その削った分の面積とコストを、家族が集まるリビングの拡張や、日々の生活を支える大容量の収納に充てるべきです。

ただし、私はすべての廊下を否定しているわけではありません。そこに「明確な理由」があるならば全面的に肯定します。

  • 親世帯や夜勤のある家族との生活時間帯のズレによる「遮音」のため
  • 視線の先にある素晴らしいロケーションや庭を切り取る「景色の演出」のため
  • 朝のラッシュ時に家族がぶつかり合わないための「混雑緩和」のため

こうした目的(意味)がある廊下は、機能として正当です。「なんとなく必要そうだから」という思考停止こそが、家づくりを失敗させる最大の原因なのです。

2. 70点の土地を100点に変えるのが設計士の仕事――土地迷子への苦言

「良い土地が見つからなくて、もう1年も家づくりが進まないんです」

そんな相談をよく受けますが、ハッキリ言わせてもらえば「土地は探すものではなく、既にあるものから選ぶもの」です。いつまでも100点満点の理想の土地を追い求める「土地迷子」になってはいけません。

不動産市場において、すべての条件が完璧な土地など存在しませんし、もしあったとしても一般の人が手を出せる金額ではないでしょう。私たちが目を向けるべきは、「一見、70点に見える土地」です。

南側に道路があって日当たりは良いけれど、人通りが多くてプライバシーがない土地。西側が崖になっていて特殊なロケーションの土地。あるいは、形が少し歪な変形地。これらはすべて、設計の力次第で100点満点の住まいに化けさせることができます。

例えば、南側に思い切り開いた配置計画をしたとします。平面的には日当たりが良くて効率的に見えますが、外を歩く歩行者からリビングが丸見えになったらどうなりますか? 結局、四六時中カーテンを閉め切って生活することになり、庭の広さも光も感じられない暗い生活を送る羽目になります。

そんな土地でも、建物の形状を工夫して中庭を作ったり、プライバシーを守る袖壁やフェンスを計算して配置すれば、カーテンを一切閉めなくてもいい、圧倒的に開放的な空間へと生まれ変わります。土地のデメリットを言い訳にするのは、設計士の怠慢です。既にある選択肢から覚悟を持って選び、それを建築の造形によって価値を最大化させる――それこそが持続可能な家づくりの本質です。

3. 窓は「なんとなく」開けるものではない――「図と地」の理論

家の外観を見たときに、サイズも高さもバラバラの窓がポツポツと並んでいる家を見かけると、私は非常に心が痛みます。窓の配置を「なんとなく引き違い窓」「なんとなく横すべり窓」で決めてはいけません。

窓を設ける意味は、何を通すかにあります。

  • 通行:人が出入りするためのものか
  • 視認:美しい景色や家族の気配を見るためのものか
  • 採光:部屋に適切な光を採り入れるためのものか
  • 通風:風を効率よく抜くためのものか

これらを完全に定義した上で、窓の種類と位置を決定します。例えば、風を効率的に取り込む「ウインドキャッチ窓」は、開けた方向ではなく、あえて隣家との狭い隙間など、風が正面から来ない場所に設ける方が効率的に風を捕まえられます。

さらに、私が設計時に必ず徹底しているのが「図と地」の意識です。 窓を開けるということは、同時に「壁をどこに、どんな形で残すか」を考えるということです。窓という「図」に対して、残された壁という「地」の形が美しく整っているか、常にセットで検証します。天井や外観においても同様です。同一階の同じ面にある窓の取付高さ、窓自体の高さをピシッと揃えるだけで、外観も見違えるほどスッキリします。

吹き抜けに窓を設けるときも注意が必要です。ただ明るくしたいからと高い位置に窓を設けた結果、ソファに座って見上げたときに「隣家の壁や軒裏しか見えない」という悲惨なケースが多々あります。その窓から何が見えるのか、視線の最終地点まで計算し尽くすのが、本物の設計です。

4. 天井にポツポツと穴をあけない――重心を下げる一室多灯の照明計画

部屋を明るくしたいからといって、天井にダウンライトを均等にポツポツと配置する(分散配灯)のは、空間を散らかす選択肢です。天井に無数の穴が開いているリビングが、本当に美しいと思いますか?

特別な目的がないのであれば、照明を1か所にまとめる「集中配灯」を行うべきです。そうすることで、天井に美しい「余白」が生まれ、空間全体がすっきりと洗練されます。

また、私は部屋全体を均一に明るくする「一室一灯」の思想を推奨しません。人間の暮らしには、シーンに応じた最適な明るさというものがあります。読書をする場所、食事を楽しむ場所、リラックスしてテレビを見る場所、それぞれに必要な光を細かく分ける「一室多灯(配灯)」が基本です。

空間を劇的に格好良く、かつ心地よく仕上げるテクニックとして、私は「重心を低くする照明計画」を推奨しています。天井からの強い光に頼るのではなく、スタンドライト、ブラケットライト、ペンダントライトといった器具を使い、人の目線の高さ、あるいはそれより低い位置に光源を点在させるのです。

間接照明を取り入れる際も、光のグラデーションが綺麗に伸びるように、照らされる壁の仕上げや形状を歪みのないように徹底的に整えます。夜、低い位置にある柔らかな光の陰影に包まれて過ごす時間は、本当に落ち着きますし、何より……かっこいいですよね(笑)。

5. 優れた設計士の定義――頭の中のイメージを100%再現するということ

建築の世界では「形態は機能に従う」という有名な哲学があります。美しさとは、機能性を極限まで追求した結果として自然と立ち現れてくるものです。

では、それを実現する「優れた設計士」とはどんな人でしょうか? 私は、『自分の頭の中にある完成イメージを、寸分の狂いもなく100%現実の空間に再現できる人』だと信じています。

感覚や雰囲気、流行の言葉だけで家を建ててはいけません。 「モダンで塊感(マッシブ)のある格好いい家にしたい」という要望があったとします。多くの住宅会社は、ただ外壁を四角くして終わりにするでしょう。しかし、本物のマッシブデザインとは、BOXのボリュームを複数組み合わせ、明確にレイヤー(層)の重なりを作り、木造でありながらまるでRC造(鉄筋コンクリート造)のような重厚な塊感をディテールから構築していくものです。シンプルな形状の中に、植栽のレイヤーや、計算された奥行き、視線を遮るアイストップとなる壁を1枚挟み込むことで、初めて空間に圧倒的な深みが出ます。

土地の関係でどうしても広い空間が取れないときには、部屋を対角線上に配置して最大視覚の奥行きを長く取る、開口部をL字に設けて視界を外へと広げる。さらに外周部の壁と内壁の素材や色を変えることで、視覚的な錯覚を利用して奥行きを出す。

これらはすべて、感覚ではなく徹底的な理論の積み重ねです。どこがどうなっているから、人間はそれを「心地よい」「美しい」と感じるのか。それを言語化し、コントロールして図面に落とし込む。これこそが、プロとしての責任です。

おわりに

ここまで、かなり厳しい現実を突きつけ、具体的な指摘をしてきました。 私がなぜこれほどまでに、意味のない設計を嫌い、あなたに「本当に必要ですか?」としつこく問いかけるのか。それは、あなたが建てる家が、あなたの人生を豊かにするための器であってほしいからです。

住宅会社の都合で作られた量産型の流行デザインや、他人の目を気にした見栄のための空間に、あなたの大切な一生分のローンを注ぎ込む必要はありません。

家づくりに正解を求めるのはやめてください。正解は市場にあるのではなく、あなたのライフスタイルの中にしかありません。私は、あなた自身の本質的なニーズを掘り下げ、すべてに理由がある『意味のある家』を共に作り上げたいと思っています。

もし、私のこの偏屈とも言える理論と情熱に共感していただけるなら、ぜひあなたの理想の暮らしについて、本当の想いを聞かせてください。無駄を削ぎ落とした先にある、あなただけの本当にかっこいい家を、一緒に形にしましょう。

WELCOME!