第1話 「小者がお邪魔しますよ」
とち狂ったタイトルではじまった本ブログは、
という無謀とも思える家づくりのお話です。
はじめまして、40代シングルマザーの「エル」です。
小学生の娘2人の母です。
自営でデザインの仕事をしている、ものづくり大好き人間です。
実家は他県のため、両親のサポートは一切なしという環境です。
今までは中古の持ち家に家族で住んでおり、増築して小さな事務所を作り「自宅兼事務所」としていました。
家を出ることになり、「住まい」と「事務所」をどうするか。子供の校区など、様々な問題が浮き上がってきました。
第一回目の今回は、石橋を叩いて叩いて1ミリずつほふく前進で進むタイプの私が、「注文住宅」を選択するまでに通った道のりをお話しいたします。どなたかの参考になると幸いです。
【前提条件】
(1)子供の校区が変わらないこと
(2)事務所スペースが確保できる間取りであること
※仕事しながら家事、子供が病気の時でも看病しながら仕事できるよう、事務所を「別に借りる」という選択はありませんでした
以上。
少なっ!
と、思いますよね。
ただ、(1)の「校区が変わらない」という条件が、進撃の巨人のウォール・マリアくらいの壁となるのです。
…50メートルの壁、越えられます?
良くも悪くも元々住んでいた住まいが中央区の文教地区であり、坪単価50万くらいの地域でした。
50万の壁…たっか…!!
どなたか私に立体機動装置を貸してください。(切実)
どうりで周りはお医者さまや社長さま宅が多いんですね。納得。
分かりやすく説明すると、タタミ2畳で50万です。
白目むいちゃいますよね。タタミが50万ですよ?高級いぐさですか?(違)
例えば60坪の土地で3000万…。
え?土地だけで?
正気? 家も仲間に入れて…。
ダメだ…土地は……買えない…くぅ、私に財力があれば…!!
完全に意気消沈。戦意喪失。
中古の物件を何とか探そう!
この時点で「家を建てる」という選択肢は消えていました。
そもそも家を建てるなんてお金持ちのすることだ!
シングルマザーの私には到底無理なんだ…
現実に目を向けて、他のプランを考えてみよう。
——-
プラン1 「中古マンション」+「リノベーション」
先にお伝えしますが、「新築マンション」の選択肢はまったくありませんでした。
通常新築マンションは2LDKや3LDKなど、住居をメインとした間取りになっていて、事務所を作るスペースがないのと修繕費積立、管理費や駐車場費など付帯するものが多く、トータルで見た時に現実的ではないと思いました。
それは中古マンションでも同じですが、中古マンションは手頃な価格で4LDKや5LDKもあるので、2部屋を繋げて事務所にするのもアリかもしれない…
ここの4.5帖と4.5帖を繋げて1部屋にしたら9帖だから、狭いけどまぁ今より広くなるしいいかもしれない…
しかし新築と同じく「修繕費積立、管理費、駐車場費」これらは必ずかかってきます。
中古のマンション+リノベーション費用+「修繕費積立、管理費、駐車場費」総額はまぁまぁ大きくなります。
何より「事務所」が「マンションの一室」ってちょっと怪しくない…? という個人的主観。笑
(事務所がマンションの一室の方々すみません…)
あと事務所使用NG物件が多い。
プラン2 「中古の一軒家」+「リノベーション」
最近のリノベーションは、おしゃれでセンス溢れるものも多く、中は新築と変わらない見た目にできます。
物件自体の価値はほぼ無いに等しいので固定資産税も抑えられる。
しかし断熱性能や、やはり「家」としての安心感は低め。光熱費は抑えたい。
外観もあまり変えられない…。THE・日本家屋。
そしておしゃれにこだわりリノベーションすると、まぁまぁな費用になってきます。
いくつか目ぼしい物件を見つけましたが、
・学校まで遠い
・通学路に歩道がなく、交通量は多い
・かなり入り組んでいて事務所としての立地が悪い
・そもそも土地が高いので中古物件も高い(ほぼ土地代)
プラン3 「建売住宅」
数年前と比べて建築費も爆上がり、そんな中で「建売住宅」というのは希望の星です。
もちろん色々妥協しないといけない点はあると思いますが、住めば都です。
何より今まで住んでいた家がかなり古かったので、この際なんでもいい!(だいぶ投げやり)
天井の隙間から野良猫に覗かれることもない!
すきま風に震える夜を過ごすこともない!
大雨の度にトイレが浸水することもない!
(どんな家やねん)
ベースがそこなので、どんな建売も輝いて見える。みんな…とても綺麗だよ…。
しかし…やはり「住居」なんです。間取りが。
もうこれは誰が悪いとかではなく、当然のことなんですよね。需要と供給のバランス。
事務所つき建売住宅なんて需要少ないでしょう。ピンポイントで攻めすぎです。
LDKの横に5帖の洋室。ここを事務所に…?
いや、ここを主寝室にして2階の一番大きな洋室(8帖)を事務所に…?
お客さまはLDKを通って2階に上がるの?
それはちょっと…ズボラ代表の私は生活感を無くせる自信がなさすぎる。
朝脱いだパジャマ、そのへんに置いてあるよ?
じゃあ増築して入り口も別につけるとか…?
後付け感が否めないのはもちろん、総額が注文住宅とさほど変わらなくなる…?
余談ですが、ギリギリ校区が変わらないところでおしゃれな建売(3000万切ってた)を見つけて、内覧して即決しそうになりましたが冷静になり改めて考えて踏みとどまりました。
契約を急がせる営業さんは判断を鈍らせてしまうので、気をつけましょう…!
プラン4 「ローコスト住宅・規格住宅」
こちらも検討し、見学会にも参加しましたが、何だかんだで総額がいいお値段になりそう。
LDKと同等の広さの事務所を入れるわけですからね。追加が結構かかりました。
規格でもこのくらいするのか…というのが正直な感想でした。
デザインにこだわりが無いのであればいいのかもしれませんが、一応デザイナーという職業柄こだわりたい。
みんな違ってみんないい。大きい買い物なのに後悔したくない…!
——-
紆余曲折、検討に検討を重ね、「小さな注文住宅なら…もしかしたらワンチャンいけるんじゃ?」という思考に至りました。
そう、豪邸じゃなくていいんです。
子供と3人、安心して暮らせる住まいであれば…
※慎ましく謙虚に言ってますが、財力が無いだけです
まずはどのくらい費用がかかるものか相談してみよう。
話はそれからだ!
突破口を探すんだ!
まったく手が届かない額なら諦めもつく!
そしてハウスメーカー何社か相談し、たどり着いた (というか前々からマークしてた) アーキハウスさん。
「設計士とつくるデザイナーズ住宅」
キャッチコピーから気になってはいたけど、デザイナーズ住宅なんて手が届かないだろうし、
そもそも相談したところで、門前払いか鼻で笑われるかのどちらかだ。怖いよう。
そんな気持ちがあり「敷居の高い」ハウスメーカーとして避けていたアーキハウスさん。
でも職業柄、せっかく建てるなら自分の気に入った家にしたい。デザイン性も妥協できない。
そして何より設計士さんと直接お話してみたい。(ものづくり仲間!)
私は意を決し、自宅からほど近い健軍店に予約を入れました。
どきどき…
当日迎えてくれた設計士さんは、やわらかい雰囲気の宮本さん。
何から伝えて良いのか右も左もわからない私に、やさしくヒアリングを進めてくださいました。
そして「家」という大切なものなので、こちらの状況をしっかりお伝えしました。
ひとりで建てること、子供が2人いること、事務所も作りたいこと、
子供たちを育てていけるように何年もかけて収入を増やしたこと…。
…正直とても重かったかもしれません。
宮本さん… 胃もたれしていたかもしれません。
「おっとここは人生相談所かな?」 と心の中でつっこんでいたかもしれません。
「厄介な客が来たな…」 と思われたかもしれません。
でも、全部伝えないとベストな提案は難しいのではと思い、包み隠さずお伝えしました。
話しながら思ったことは、家づくりって人生そのものなんだなと。
「何が大切で、これからどうしたいか」
深く考えるきっかけとなりました。
ヒアリングが終わり、帰ろうと立ち上がった時に宮本さんは言いました。
「なんとか叶えたいですね」
何気ない一言だったかもしれませんが、家づくり迷子の私にとってはその一言がとても頼もしく感じました。
「あーうちじゃ無理っすね」と門前払いどころか、とても親身になってくれた。
一緒に突破口を見つけ出してくれるかもしれない。
もしかしたら予算内で何とか提案してくれるかもしれない。
そんなわずかな希望を胸に健軍店を後にしました。
—–
次回 「胃もたれの宮本さん本領発揮!プロってすごい!!」
更新をお楽しみに!